2015年09月07日

新作落語お披露目の巻

新作落語 伊豆の踊子

以下の作品は以前に年中賀状日和という本を作らせてもらったときに、落語好きの著者に触発されて作った小噺です。
出版社フジモトのアピールも大いに入っております。


 エー、こちらは自費出版とかいう小説やら写真集やらの本作りがご専門のところのようでございますので、わたくしのような噺家の話はちょっとばかり場違いかとは存じますが、残暑も幾分おだやかになりました今日このごろ、ひといおつき合いの程をお願いを申し上げます。
 さて、東京オリンピックの競技場やエンブレム問題で、何かと賑やかな年になっておりますが、皆様方、本日は他ではけっしてやってはおらないという、とっておきの期間限定、当ブログ限定のお噺となっておりますので、ひとつお楽しみをいただければ幸いでございます。
 私の名前でもあります新屋(アタラシヤ)というのは新潟にございます有名な酒造りの会社の名前でもございまして、その新潟で生まれ育ちましたわたくしの高校時代からの無二の親友がこちらで出版を営んでおりますフジモト君でありまして、普段はフジモトと呼び捨てにしておりますが、今回は彼のたっての頼みを是非実現してやろうという事もございまして、ささやかではごございますが、平成二十七年の秋の特別バージョンでお届けしたいと思います。
 本日は一段と高いところからのご口上、大変失礼をいたしております。竹馬の友は奇縁の縁、酒と書物は六分の狂気、四分の熱などと申します。ひとつよろしくお願いを申し上げます。
 さて今年も早いもので、夏の暑さもどこへやら、これからはだんだんと寒さが増してまいります。秋が過ぎまして冬ともなりますというと、日本列島はあちこちで吹雪いたりしまして、一年中で一番寒い時期になってまいりますが、人間というのは勝手な生きものでございまして、寒ければ寒いで、ああ早く春にならないかなー、暑ければ暑いで、早く涼しくなって欲しい、なんてつい思ってしまう訳でございますが、そういう時には、気晴らしに温泉なんかに行ってみるのが一番でございますね。
 皆様方におかれましては、仕事上のトラブルなんかを抱えておりますと、ストレスも溜まってまいります。しかし、週末や連休はどこへ行っても人、人、人の波でございます。返ってストレスが増すばかり。それに比べて、平日の観光地というのは、すいております。ガラ〜ンとしております。近くの山がちょっとばかし噴火したという噂だけで、もう人っ子ひとりいやしません。というような状況にもなってまいりますので、是非皆様、そのようにパソコンの前でそうやってこちら側の字を見ておりますというと段々と目元あたりにも疲れがたまってまいりますのでね…でも本当のところ演ってるわたくしの方がもっと疲れるわけでございまして…。

 それはともかくといたしまして、そろそろ本日のメインエベントの方に入らせて頂きたいと思います。
本日は、かの有名な川端康成先生の名作、伊豆の踊り子の噺でございます。

 さて、こよい、秋雨前線たけなわ。小雨そぼ降る温泉なんかにつかりながらの一杯なんてのもなかなかの趣向でございますが、何しろ近ごろはカラオケブームでございまして、先日もテレビを見ておりますと、カラオケの先生が、おじさん達を対象にいたしまして、アチラの英語の歌をどうやったらうまく歌えるかなんて番組をやっておりまして、ジスイズアペンしか発音できないようなおじさん達が、犬のようにかしこまって教えを乞うているわけですな。
 宇多田ヒカルのイッツオートマチックなんてちょっと前の流行(はやり)の歌がございますが、おじさん達にとりましてはなかなか題名だけでも上手く発音できないのが現状なのでございます。
 でもこのテレビに出ておりましたカラオケの先生は立派ですなー。
「ああちがうちがう、それじゃ英語に聞こえません。このさびの部分のイッツオートマチックの所は、伊豆お泊まり、イズオトマリーなんて歌うとそれらしく聞こえます。はいもう一度歌ってみてください。はい皆さんでご一緒にー、イーズーおー泊まりー…」
 なんてやっておりました。すごいですね。私もやってみました。イーズ、オートマリー、………。
 えーなかなかのもんでございますが、この手の話は昔からたくさんございまして、例えば、昭和の初め頃の話になりますが、あこがれのハワイ航路なんて歌にもございますが、日本人が初めて観光旅行でアメリカに行きまして、列車の旅でもって、フィラデルフィアまで行く途中でございます。でもここで日本人がフィラデルフィアなんて現地の人に言っても通じないそうでございますな。
 古道具屋、これで通じるそうでございますが、例えば日本人がアメリカのとある駅の切符売り場でフィラデルフィアまでの切符を買いたいとしますね。どう言えば買えるかといいますと、我々が習った英語でいいますと、これはフィラデルフィアまでだから前置詞のtoを頭につけましてトゥー古道具屋、これだな。
 ここで中学校で習ったアイ・ゴー・トゥー・スクールが生まれて始めて役にたつわけでございます。
 そこで思わずトゥーフルドーグヤーと言ってみますと、窓口からフィラデルフィア行きの切符が2枚出てまいります。
 あー間違えたみたいだなー1枚でいいのに2枚も出てきた。うーむこれは、トゥーと言う前置詞が間違いだなきっと、そうだfor だ前置詞はforが正しい。
 例えば東京行きの列車のプラットホームとかに確かfor tokyoなんて書いてあったような記憶が…、そうだ前置詞はtoではなくforが正しい。
 やや時間を置きまして、おそるおそるforフルドーグヤーと窓口の人に告げますと、今度は何と4枚の切符を渡されそうになります。これは更に困った事態になってまいります。それでこの日本人はだんだん心の中が焦ってまいります。そこで思わず日本語でエートエートなんて独り言を言っておりますと、8枚の切符が出て来たというオチでありますが…。
 ちなみに皆さん、正しい切符の買い方はフィラデルフィアプリーズだそうでございます。
 もうひとつ似たような話で有名なのが斉藤寝具店というのがございますな。
 日本人が飛行機で外国に行きまして現地の空港に到着しましてのち入国手続きをする時に、係官から尋ねられた時に使うオーソドックスな英語での返答用語がざいまして、その時の係官は必ず入国の目的は何ですかと、もちろんこれは英語で聞いて来るわけですが、まあとにかく観光目的ですと答えなさいと、常々付き添いのツアーコンダクターに言われておりまして、覚えやすいように英語のサイトシーン(観光)を日本語に置き換えて使っております。中には間違えて渡辺寝具と答えてるおじさんも見受けられますがくれぐれも最後にテン(店)何てつけないようにお願いしたいものでございます。テンなんてあなた10回も観光するんですかなんて勘違いされてしまうというものでございます。

 えー、話を振り出しに戻しまして、伊豆の踊り子の話でございます。
 伊豆と言えば勿論、温泉が有名でございますが、まあ、あちこちの温泉に行ってみますとよくこちらが、かの有名な大作家先生が逗留された部屋でございます。なんて宿に多々ぶつかったり致します。
 有名なところでは伊豆の踊り子を書いた川端康成先生がお泊まりになったという宿が伊豆半島ののあちらこちらに点在しておりまして、こないだも私一人で仕事の関係で伊豆巡りの旅をしておりましたらそんな宿のひとつに出くわした事がございました。奇遇ですねこれは実に。
 そのお宿と申しますのが実に由緒正しい老舗の旅館という面もちでございまして、案内してくれた宿の女将が申しますところによりますと
「こちらの部屋が川端先生のお泊まりになった部屋になっております。景色が大変よろしゅうございますのはもちろんなんですが、何でもここが伊豆の踊り子の構想を練り上げたお部屋と聞いております」
なんて申します。実にたいそうな部屋があったもんでございます。
「といいますと、先代の女将さんか何かがその時お世話をなさったわけですかね先生の」
「はい、そう申し聞いております。それであちらが先生のお書きになった直筆の色紙になっております」
 女将のしなやかな指の先をたどりますと、何やら床の間のところに額に入れられた立派そうな色紙が飾られております。近づいてよく見てみますというとちょいとばかり黄ばんだ色紙でございます。その四角い四面いっぱいに流れるような墨文字が文字どおり踊っておりまして、読んで見ますとizunoodoriko yasunari kawabata と書かれておりまして…、その右下隅には日付が、そして左下すみには判読不能の朱色の落款が押してあります。
「すごいですね、川端康成先生は英語で自分のサインを書いてはったんですね」
「そのようでございますね、当時からすでにやがては自分の作品を世界に売り出そうという想いがおありのようでございましたようです」
「さすがは大作家先生ですな。するとなんですか。つまりこの部屋で伊豆の踊り子を書き上げたというわけですな?」
「左様に伺っております。ここで構想を練りながら、実際にお書きになったと聞いておりす」
「ほう左様ですか、まあそれでもああだこうだと構想を練りながら何やら悩みはったんでしょうなー、あちらの縁側の椅子に腰掛けたりしながら、何かこの雄大な景色を眺めながら先生の悩み苦しむ姿がしのばれますな」
「いえいえ、そんな事はなかったように聞いております、何しろ先生は英語もお得意でございましたから、作品の構想が決まりますと、一気に日本語と英語の両方で書き上げてしまわれたそうでございます」
「一気にですか英語と日本語で同時に、ハアー大したもんだ」
「はい、一気にですね。それはまるで溢れる温泉の湯水のごとく、自動筆記のようでございましたそうです」
「自動筆記ですか」
「はい、自動筆記でございます。英語ではオートマチックとか申しますそうですが」
「なるほどオートマチック。伊豆オートマチックですか!なるほどなるほど…」

 えー、おあとがよろしいようで、この辺で失礼させていたできます。

 
posted by fujibooks.com at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | プラチナ通りの貸本屋

2015年06月19日

近鉄名古屋線沿線書店まわり、ディープすぎる業界人の日常

実際に、近鉄名古屋線沿線書店まわりの営業をしてみました。そのある程度リアルな日記になっています。

2015年6月16日朝5時37分 横須賀中央駅
 天気曇り、乗り込んだ特急電車を横浜で下車、東神奈川乗り換え新横浜から新幹線で名古屋へ、近鉄蟹江駅9時30分に同僚のオバマ-Kと合流。
 今回の営業は、7月1日発売予定の弊社の本、変わらなきゃの告知と、ポスター、POP、スタンドの配布と平積み販売協力企画の説明、期間、協力金の支払い方法、注文書などの渡すタイミングや、店長がいなかった場合の対応、チェーン店が多い書店さんは、そう言う話は本部と話してくれと言ってくるので、その場合、本部の住所と担当者を聞き出すテクニックとか……これ以上の詳細は控えるとして、本日の書店回りのルートをふたりで、待合室のベンチで綿密に確認する。

@ 東京書店蟹江店
 〒497-0044 愛知県海部郡蟹江町富吉3−243
 0567-95-6997
A あおい書店蟹江店
 〒497-0050 愛知県海部郡蟹江町学戸2丁目127
 0567-96-5135
B いまじん中川戸田店
 〒454-0961 愛知県名古屋市中川区戸田明正2丁目110
 052-439-2360
C ブックスオオトリ・名古屋中川店
 〒454-0972 愛知県名古屋市中川区新家1丁目2421
 052-432-6278
D 精文館書店津島店
 〒496-0803 愛知県津島市今市場町4丁目29−1
 0567-27-5200
E 精文館書店新津島店
 〒496-0813 愛知県津島市片岡町60
 ヨシヅヤ津島北テラス別館 1F  0567-22-4001
F 文教堂書店弥富店
 〒490-1406 愛知県弥富市鍋平2丁目31−1
 0567-56-3025
G いまじん弥富店
 〒498-0014 愛知県弥富市五明町蒲原1371−4
 0567-66-2533

以下、実際にまわった結果報告です。

@ 東京書店蟹江店は、行ってみたらアダルト系の専門書店だった。これ、グーグルストリートビューでは分からない。単行本なんて一冊も置いてませんでした。

A あおい書店蟹江店
 事前の打ち合わせをしていたので、平積み100冊の対応で8月10日まで置いてくれる契約、A2ポスター渡す。お土産にお菓子のホームラン王、ナボナも。

B いまじん中川戸田店
 店長は不在です。でもこれはアポナシで売り込みに来た出版社への対応マニュアルなのでは? と今回、深読みしたくらい。
 店長は、不在、休憩時間中、接客中とか、特にこの店では最初からまるで不審者扱いされたので、名刺も渡さずいったん撤収。
 このあとに行ったG いまじん弥富店も同じ対応をするので、こちらも開き直って対応した店員に、じゃあどうすれば置いてもらえるの? と詰め寄ってみると本部の書籍部で一括でやってるからそちらに訊いてくれというのでありました。店を出たあとに、名古屋の北にあるという本部の電話番号にかけてみると、これが最悪でした。
 電話口の向こうの担当者にしてみれば、出版社のフジモトなんて知るわけがないのですから当然といえば当然ですよね。
 結局、後日企画書類一式を送ることに落ち着いたのですが、電話口の担当者もなかなかのしたたかさで、協力金が出るならとの口ぶりで、結構こういうパターンには手慣れてる様子もありました。
 言うまでもなく書店さんもビジネスなのですからお金さえ出してくれるなら、置くのはやぶさかにはあらずが本音なんだと思いました。
 結局、あとになっても書類一式、送らないことにしました。

C ブックスオオトリ・名古屋中川店
 ここもチェーン店であり、飛び込み営業だと、門前払いかと思いきや、店長と店員が二人という小規模な売り場であり、私たちを、店長が事務室に招き入れてくれてその場で快諾です。
 店長はこちらが提示した協力金に、こんなに貰えるのかといたく感動している様子でこれは良い兆候、即横須賀のお土産を渡して終了。

D 精文館書店津島店
 ここもチェーン店の一角、アポナシ、店長不在ながら、偶然にも各店舗を巡回しているフィールドトレーナーの肩書きを持つ鈴木さん(仮名)とお会いすることができた。
 この人、組織的にかなり偉そうな感じの人。
 話を聞き終わると当方の企画とは関係なく、他の精文館書店4店舗でも置いてくれると言うことになりました。ポスターも多めに欲しいというのでA2を4枚。
 この書店さん、今回の営業で一番の幸運だったかもしれない。

F 文教堂書店弥富店
 文教堂さんは、対応した担当者が名刺すら受け取らないのでありまして、今回の営業では、系列店さんを含めてスルーすることにしました。詳細はこれ以上書けませんが悪しからず。

6月18日、2日目のルート、朝から雨の予報ながら、曇りのままの推移で傘の出番はなしでした。

H シェトワ白揚書籍館
 〒510-0822 三重県四日市市芝田1丁目10−3
 059-354-0171
I 宮脇書店四日市本店
 〒510-0075 四日市市安島1丁目3−31 ララスクエア四日市 4F
 059-359-5910
J 近鉄ブックセンター
 〒510-8585 三重県四日市市諏訪栄町7−34
 059-354-7407
K MARUZEN 四日市店
三重県四日市市諏訪栄町7−34 近鉄百貨店地階  
 059-359-2340
L 四日市新光堂書店駅前店
 〒510-0086 三重県四日市市諏訪栄町5−5
 059-351-1600
M 新光堂書店アピタ桑名店
 〒511-0068 三重県桑名市中央町3丁目21
 0594-23-1898
N 新光堂書店本店
 〒511-0089 三重県桑名市田町22
 0594-21-2521
O 太閤堂
 〒511-0079 三重県桑名市有楽町14
 0594-22-0688
P 三洋堂書店桑名店
 〒511-0811 三重県桑名市東方764
 0594-27-7734
Q 三省堂書店 名古屋島屋店
 〒450-6011 愛知県名古屋市中村区 名駅1-1-4 ジェイア-ル名古屋島屋 11F
052-566-8877
R ジュンク堂書店名古屋店
 〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅3−25−9 第一堀内ビルディング 1F
052-589-6321
S 星野書店 近鉄パッセ店
 〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅1−2−2
 052-581-4796

 各書店まわりの詳細ですが、I 宮脇書店四日市本店と、K MARUZEN 四日市店は飛び込み営業だったにもかかわらず、置いてくれそうな雰囲気になりました。特に丸善は四日市の近鉄駅の地下にある大型店であり、是非平積みをと思っていたのです。
 幸いにも店長さんとお会いでき更にこの店長さん、もと名古屋ジュンク堂にいたことがあって、前回置いてくれていた弊社の本のことを覚えていたんですね。
 丸善とジュンク堂が合併したことが幸いしました。丸善四日市の店長さん、名古屋ジュンク堂の今の店長さんとも知り合いの仲。そんなこともあって、今回は連携して販促やってあげるかもよ、とのニュアンスを滲ませてくれました。
 これで、四日市まで来たかいがあったというものです。

 お昼過ぎに、四日市から準急に乗って名古屋に移動。
 連れのオバマ-Kがお昼は、どうしても本場の味噌煮込みうどんが食べたいというので、iPadで現在位置から検索をかけて捜してもらう。駅の地下街にいたせいか、Wi-Fiの繋がりが悪い。一度、地上に出て再び検索。
 めでたく味噌煮込みうどんを完食という、はこびにあいなりました。
 残す書店は、近鉄パッセ星野書店、高島屋の11階にある三省堂、駅からちょっと離れたジュンク堂だけとなり、こちらは事前に話をしてあったので、ポスターとPOPを渡すだけで完了。

 今回、三省堂だけ60冊、他は30冊。これは予算の関係ですね。書店さんはお金を払えば置いてくれる。これは間違いないことだけど、無名の出版社が無名の著者の本を書店さんに平積みで置いてくれるようにと、電話やメールで交渉してもダメ。本の平積みを実現したいなら、現地へ行って直接説明して、頼み込むしか方法はないんです。 大変だけど、自費出版の本を置いてもらうには、まずアポなし訪問営業ですね。もしこれをいとわないならばどんな本でも希望の書店に並ぶと思いますよ。
 ウソだと思うなら自分でやってみればいいんです。でも実際にやってる出版社も著者もほとんどいないのではないか。お金も時間もかかりますしね。
 一般的な出版社としては、一斉FAXで注文書を送ったり、取次へ配本依頼して、ウチはちゃんと営業して各書店に頼んでますよっていう販促の説明はしてると思います。特に自費出版のお客さんに対しては。でもその説明を聞いたほうの著者には、何のことだからさっぱり分からない。
 取次への委託配本で全国の書店にあなたの本をって、でもそれで書店に自分の本が並ぶ訳ではありませんよね。それだけでは書店さんは平積みはしてくれないんです。各書店の店長さんに与えられた裁量は、1タイトル本にせいぜい5冊までの注文でしょうか。
 でも全体的に、書店流通は、自費出版する人にはよく分からない話ばかりです。
 そして、直接書店に出向いての営業を、一体どれだけの出版社がやってるのでしょうか。
 特に、自費出版でやってるところは、あまりないと思います。



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2013年02月17日

本作りのマクガフィン

 本に限らないことだが創作の課程で有用なものとして、マクガフィンというのがある。あまり聴き慣れない言葉だが、創作活動においては欠かせないもののひとつだ。

 マクガフィンとは、例えば、ロード・オブ・ザ・リングという物語の全体を貫いているリング、インディ・ジョーンズにおける聖櫃(アーク)がマクガフィンなのだ。

 これらは物語を動かすためのアイテムであり推進力でもあるが、大事なことは、ヒッチコックがいうように、マクガフィンとは、物語の単なる入れ物であって、本質ではないということだ。だからそれが、ウラニウムの入ったワインのボトルが、ダイヤモンドの入ったそれにすり替わったところで一向にかまわないというこなのである。秘密のディスク、歩哨から奪った砦の地図、現場に残された黒革の手帳であっても同じこと。

 この場合大事なことは、例えば、映画・逃亡者のプロローグで主人公キンブルがなぜ追われているのかは本人にも分からないし、読者(観客)にも分からない、同時に追っている側の正体も分からなければ、追っている理由さえもが判然としないという構図になっているということである。そこで読者(観客)はそれらをひとつずつ知りたいと思うようになって遂にはその物語に導かれていって最後まで読んで(観て)しまうハメになるのである。

 これらの関係性は、それについては最初、主人公もまったく知らないらしい。同時に追っ手の連中も知らないままそれを取り返そうとしているらしい。それについて本当のことを知っているのは恐らく追っ手の背後にいる黒幕らしいという推測を働らかせてくれる。当然ながら読者(観客)には最初から知らされないという図式である。

 マクガフィンとは話のつかみであり、目に見えない推進力になりうるものであり、かつ煩わしい状況説明などをはしょるのに都合のいいアイテムなのでる。またこれがないと読者はすぐに飽きてしまうものであり、最後まで読んで(観て)くれない。

 出版したい本を読んでもらうためには、なにがしかのマクガフィン(サービス精神)がないと実に退屈なものになってしまうものなのだ。
タグ:自費出版
posted by fujibooks.com at 23:24| Comment(0) | プラチナ通りの貸本屋